ある日、夜中に目がさめると、ぼくは、ねこのしっぽになっていた。
ぼくの家でかっているマオのしっぽになっていた。
たしかにベッドにはいるまでは人間だったし、マオはベッドの下でねむっていた。それなのに今、ぼくは、マオのしっぽになっている。
まえにお母さんが、『ねこのしっぽは花』という絵を見せてくれたことがあったけど、その絵みたいに
『ねこのしっぽはぼく』になっていた。
どうしてこんなことになってしまったんだろう?
そりゃぁ、ぼくだって
(ねこっていうのはどこに出かけて何をしているのか見てみたいな)
(しっぽの先にくっついて行きたいな)
と思ったことはあったけど、それが本当になってしまうなんて、ありえないことのはずだった。
そんなことを考えていると、ねむっていたマオが、ゆっくりと目を開いた。
マオは、まっ白いねこで、目の色はとってもきれいな青。
その青い目が、ゆっくりと開いて、しっぽの先のぼくを見た。
「マオ」
ぼくは、そっとよんでみた。
ニャア
ぼくの耳には
「ごめんね」と聞こえた。 


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